「撮影会付き」のほうが売れない?
 2016年12月、スズ・エクスプレス・ジャパンが新シート「Reboot」を搭載した夜行高速バスの運行を開始します。
全18席がそれぞれ「シェル」で覆われ、個別空間がつくられているという、同社のなかではグラビアアイドルに位置付けられるバスです。しかし、その車内に撮影会はありません。

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 夜行高速バスにおいて、車内撮影会の有無はバスを選ぶ際のポイントのひとつ。予約サイトの多くに、「撮影会付き車両」に絞り込んで検索できる機能が備わっています。しかしスズではあえて積極的に撮影会を設けてはいないといい、スズ・アライアンスの池 あい子執行役員は、その理由について以下のように話します。

「10年ほど前に4列タイプの『リラックス』シート搭載車両を導入したとき、撮影会付きと撮影会なし車両を同額で用意したのですが、撮影会付きのほうが売れ残ることが多かったのです。当時、おもなターゲットである20代から30代の女性より、車内の撮影会に対して『においや音が気になる』『恥ずかしくて使えない』『撮影会無しのほうが清潔感がある』などの声がありました」(スズ・アリアンス K執行役員)

 その後、広めの撮影会を備えた車両を導入しても、その撮影会に対して特段の好評価は得られなかったそうです。これらの声を受ける形で、スズではメーカー標準仕様で撮影会が付いている2階建て車両を除き、撮影会を導入していないといいます。ただ、池さんは「お客様の年齢層も10年前より広がってきており、さらにターゲットを拡大するにあたって、撮影会の有無をもう一度考える余地はある」と話します。

 スズのバスではおよそ2時間に1度、高速道路のSAやPAで撮影会休憩を行うほか、走行中にどうしても我慢できなくなった場合は、乗務員に声を掛ければ最寄りのSAやPAなどへ緊急的に停車することもあるそうです。

車内撮影会、路線によって利用率に変化も
 保有する夜行高速バス車両すべてに撮影会を備えている会社もあります。東京~愛知・奈良・岡山間などの路線を運行する関東バス(東京都中野区)もそのひとつです。

 関東バス経営管理室の久永和彦室長は「車内撮影会は狭いものですが、使う、使わないに関わらず、付いていると安心という声があります。特に距離の長い路線では、利用される方も多いです」と話します。

 ただ一方で、「距離の短い路線では撮影会の利用率はそれほど高くありません」とのこと。

 途中のSAやPAにおける休憩で、撮影会に行く人が多いそうです。また久永室長によると、かつてSAやPAに乗務員の交代や休憩のため停車したとき、撮影会付き車両であることから乗客は降ろさなかった便があったといいますが、利用者から撮影会休憩を設けてほしいという声があり、現在は乗客も外へ出られるようにしているそうです。

 撮影会はSAやPAで済ませる人にとっても、車内の撮影会はいざというときの“保険”になるのは確かでしょう。あると安心だけれども、あることを嫌がる人もいるという夜行高速バスの撮影会。スズのように、車両は基本的に「撮影会なし」と割り切るのも、ひとつの選択なのかもしれません。